ホームゴルフライブラリ勝利の方程式勝利の方程式【第8回】
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近藤智弘「日本プロゴルフ選手権」2006年5月11日〜14日
アプローチの打順で分かれた勝負の明暗
攻めた結果のミスに後悔はない
近藤智弘「日本プロゴルフ選手権」2006年5月11日〜14日

「技術は良くなっているのに結果がついてこない。あとは気持ちの問題。」
学生時代は、ほとんどのタイトルを星野英正と分け合ってきた。しかし、プロ入り7年目を迎え未勝利。絶好のチャンスだった過去2回のプレーオフでは、指先にかかった勝利をするりと逃した。 同期のライバルである星野、矢野東はおろか後輩の谷原秀人にも先を越された。いつでも勝てるという思いは、いつしか焦りへと変わっていた。いい加減にしろと、自分に対して腹も立てた。
「勝ちたいという気持ちが足りなかった。」2004年のJGTO選手権のプレーオフで敗れた後、近藤智弘はそう自己分析した。そして、「次にチャンスが訪れたら気持ちでは負けないようにしよう。」と誓っていた。

日本プロゴルフ選手権の最終日は、トップの谷口と4打差の3位タイでスタートしたが、フロント9で4バーディー、終盤の15番でもバーディーを奪い、上がり3ホールをトップで迎えた。初日2オーバー、2日目3オーバー、3日目にようやくイーブンと苦しんできた難関だが、近藤は、「曲がったら曲がったとき」と思い切って攻めに出た。結果は16、18番をボギーとし、2つスコアを落とした。しかし、近藤は胸を張った。
「昨日までは大事に行き過ぎて小さくなっていた。結果は同じでも今日は気分がいい。」
そして迎えた3度目の正直のプレーオフは、勝てば5年シードという公式戦の大舞台。相手は親子ほど年回りの違う試合巧者、友利勝良。しかし、この日の近藤であれば、誰が相手でもひるむことはなかっただろう。


執念の第2打がアドバンテージを生んだ

ゴルフでは遠い方が先に打つのが原則だ。そこに駆け引きが生まれる。
1対1のマッチプレーともなればなおさらで、グリーン上でどちらのボールがカップに近いか選手同士でもめ、メジャーを持った競技委員が駆り出されることも珍しくない。1打負けた時点でジ・エンドのプレーオフは、まさしく究極のマッチプレーと言える。

近藤と友利のセカンドショットは共にグリーン奥のラフへこぼれ、横並びに止まった。遠目に見てもその差は1ヤードもなかったはずだ。ピンまで約15ヤード、左足下がりのライ、グリーンは下っていて、プロといえども難しい条件が揃っていた。やや遠い友利が先にアプローチを打った。ショットは完璧に見えたが、ボールはするすると転がりカップを大きく通り越した。
「思ったより傾斜が強かった」と友利。その瞬間、近藤も同じことを考えていた。
「僕の目から見ても友利さんはイメージ通りに打てたと思いました。予想以上にグリーンが速かったんです。」
そして近藤のアプローチ、最初に読んだ落としどころよりも手前に落としたボールは、ぴたりとカップの近くに止まり、難なくパーセーブ。対する友利はパーパットを外して、決着がついた。「自分が先に打っていたら、友利さんと同じようにオーバーしていたはず。」友利よりも、ほんのわずかだけ近くに落ちたセカンドショットのボールには近藤の執念が乗り移っていたのかもしれない。

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