ホームゴルフライブラリ勝利の方程式勝利の方程式【第7回】
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フィル・ミケルソン「マスターズトーナメント」2006年4月6日〜9日
二刀流は奇策にあらず、勝つための必然の策
マスターズ制覇に向けての準備は1月から
フィル・ミケルソン

今年、フィル・ミケルソンは宮本武蔵ばりの二刀流でマスターズに臨んだ。キャディバッグから滅多に使わないロングアイアンを抜き、いざというときのために2本目のドライバーを入れるアマチュアもいるが、ミケルソンの場合は、もちろんそんな苦し紛れの選択ではなく、計算し尽くされた作戦によるものだ。それは何より優勝という結果が証明している。
「フィルは、今年のシーズンが始まる前から、マスターズだけに的を絞っていました」
こう証言するのはロジャー・クリーブランド氏だ。今回はキャロウェイゴルフチーフデザイナーとしてミケルソンをサポートするクリーブランド氏の言葉を借りながら、ミケルソンの勝利の方程式を解き明かしてみたい。

メジャーに限らずPGAツアーのコースは用具の進歩に対抗するため年々長く厳しくなっている。マスターズが行なわれるオーガスタ・ナショナルも毎年改造が施され、今年はついにゴルフツアーで2番目の長さとなった。
「フィルもコースの長さを気にしていました。オフには、長尺の効果を確かめるため、47インチまでテストしましたが、フィルは案外長尺を気に入ってくれて、1本を46インチにすることにしました。46インチシャフトは、ドローバイアスがかかるヘッドと組み合わせたので、低スピンとヘッドスピードアップの相乗効果で、25ヤードも飛ぶようになりました」(クリーブランド氏)


シミュレーションから生まれた二刀流のアイデア
イメージ写真

しかし、二刀流の本当のねらいは飛距離ではなく、ボールコントロールにあった。
「フィルとコーチ、そして私たち技術者は、どんな球筋でどこにボールを打っていくか、オーガスタの18ホールを事細かに分析し、バーディをとっていくホールとパーをセーブするホールを決めました。オーガスタはティショットの置き場所がとても限られています。そこで少しでもフェアウェイを広く使うために、ホールによってフェードとドローが必要になります。それを確実に打ち分けるために、2種類のドライバーが必要という結論に達したのです」(クリーブランド氏)

オーガスタ用に調整されたのはドライバーだけではない。ショートアイアン、とくに70〜80ヤードのアプローチをどう打てばよいか、何度もディスカッションが重ねられた。導き出された結論は、低い弾道で止めること。
「これはフィルの希望とも一致しました。低い球なら、風があっても影響が少なく自信を持って打つことができます。スピンをかけるのはフィルの技術に任せて、私は、重心位置が高く浅くなるようにウェッジのヘッドを削りました。顔を変えてしまわないよう慎重にね」(クリーブランド氏)
「フィルやアニカ・ソレンスタムと仕事をしていて彼らの集中力にはとても驚かされます。彼らは一旦目標を決めたら、それを実現するためならば、あらゆる努力を惜しみません。タイガー・ウッズも同じだと思います」
クリーブランド氏が偉大なるメジャーチャンプの資質として指摘するのは、飛び抜けた才能を持ちながら、スイングはもとより道具に対しても決して妥協しない、飽くなき向上心だ。

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